J1昇格プレーオフ決勝 vsセレッソ大阪 歓喜の記憶。

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    2015年12月6日、日曜日。ヤンマースタジアム長居。

    この日、ここに、「福岡」が集結する。

    J1昇格プレーオフ決勝。

    明治安田生命J2リーグを3位で終え、
    J1昇格プレーオフに臨んだアビスパ福岡。
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    準決勝では、長崎とのバトルオブ九州を1-0で制し、
    長崎サポーターからのアビスパコールを背に受けて決勝に進んだ。

    相手は、愛媛FCと0-0で引き分けながら、
    リーグ戦の上位を勝ち抜けとするルールで
    勝ち上がってきた、4位セレッソ大阪。

    リーグの選定した開催地が長居であったため、
    セレッソ大阪のホームスタジアムを
    「中立地」として、リーグ上位であるアビスパが「ホーム」扱いとなるが、
    応援スタンドは混乱回避のためにセレッソが「ホーム側」を使用する
    という、訳の分からない状態になったが、

    要は、負けなければいいのだ。
    アビスパはここまでリーグ戦合わせて9連勝中。
    そして、リーグ戦ではセレッソに2勝している。

    セレッソが終盤戦のグダグダを脱するべく監督交代を
    行っていたとはいえ、負ける気は、しなかった。



    開門1時間前。
    ゲートにはすでに多くの仲間が集結していた。

    待機列のサポーターを和ませていたのは、
    「来ないでJ2」と巷で話題の、Jリーグキング。


    キックオフ2時間半前、開門。

    開門と同時に、続々と両チームサポーターがスタジアムへ。
    レベスタがそのまま長居に移植されたんじゃないかというくらい、
    福岡で、関東で、顔なじみになった顔に出会う。


    コンコースに展示されてあった、
    プレーオフ勝者に与えられるシャーレ。
    絶対に、これを城後に掲げさせるのだ。

    席の確保、幕貼り、コレオ準備。あっという間に時間が過ぎていく。
    キックオフ1時間前、いきなり通路で決起集会が始まる。


    定番の「跳ばないやつは・・・が、
    「跳ばないやつはピンク野郎」のスペシャルバージョン(笑)
    既にサポーターの熱気は最高潮。
    キックオフが待ちきれない。


    選手がピッチ練習に現れる直前。
    川森社長が拡声器を持つ。
    社長就任以来、クラブを大きく変えた社長の熱い、熱いメッセージが、
    ネイビーをまとった魂に熱風を吹き込む。

    ピッチ内練習が始まった。


    桜色の声が響く。大きく、響く。

    「あいつら一発で黙らせるけんね」
    と圭吾さんの声が届く。発火寸前。

    そして。

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    2週間前の岐阜が比較にならない程の声が、
    ピッチに向かって降り注ぐ。



    全国に発信される歓喜と絶望の90分。
    ようやくその当事者になった。
    一度歓喜を味わえばそれでいい。絶対に勝つ。

    キックオフ15分前。
    選手がピッチをいったん後にする。

    「コレオ(の範囲を)広げよう」
    観客席の様子を見て指令が飛ぶ。

    動ける人がスタンドに散り、袋を配りに行く。
    袋を受け取って、袋が行きわたっていなさそうなエリアに走り、
    手あたり次第声をかけて渡していく。

    持っている袋をすべて渡した頃、
    レベスタでおなじみ信川竜太さんによる
    アビスパ側の選手紹介アナウンスが始まった。



    眼前に広がるコレオと熱い熱いノブリュウの声。
    もうすでに泣きそうだった。


    15時30分。


    家本主審の笛により、J1昇格プレーオフ決勝の幕が開く。


    キックオフの笛とともにこだまするアビスパオーレ。
    それはこれまで聞いたどの声よりも、大きな大きなアビスパオーレ。

    スタメンの11人は、
    GK中村航輔、DF中村北斗、田村友、堤俊輔、濱田水輝、亀川諒史
    MF末吉隼也、中原秀人、酒井宣福、城後寿 FWウェリントン。

    セレッソは玉田圭司や関口訓充、
    橋本英郎といった実力者がスタメンに復帰。
    山口蛍や茂庭照幸らW杯経験者も健在。

    セレッソの攻撃を跳ね返して
    ウエリントンに長いボールを入れても、
    山下達也がついて自由にさせない。

    守備陣は落ち着いて防いでいるし、
    中村航輔が居るとはいえ、2か月前のリーグ戦よりも
    明らかに強いセレッソがピッチに居た。

    前半20分過ぎには酒井が負傷で金森に交代。
    セレッソが押し込む時間帯が続く。

    北斗と亀川の上りが抑えられる。
    航輔のセーブに安堵する。

    あっという間に前半の45分が経過する。
    セレッソの枠内にシュートを打てなかったが0-0.
    同点なら勝ち抜けとなる。


    泣いても笑っても、あと45分。

    夕闇の迫る中、後半が始まる。

    60分。

    関口がボールを持ち、堤が釣り出される。
    前方にスルーパスが出る。

    やばい。

    セレッソの20番が全速力で飛び出す。

    亀川が追いすがる。中村航輔が猛然と飛び出す。

    やめろ。

    3人が交錯しそうになるポイントの手前で、
    巧みにGKの股下を通したボールがゴールに吸い込まれる。

    やられた。

    桜色が咆哮する。
    ピッチの選手が、ベンチのメンバ―が、
    ゴール裏に一直線に駆け寄る玉田に殺到する。

    0-1。セレッソ先制。

    ウェリントンは勝負が決したかのようにピッチに突っ伏している。
    しかしこのとき、17番は神に逆転を誓っていたという。

    ゴール裏は一瞬声を失った。

    まだ30分ある。絶対に取り返せるけん、みんなでやろう!と声がかかる。
    キックオフの笛が鳴ると、これまで以上に大きなアビスパオーレが響く。

    セレッソが攻撃に移ると大歓声が上がる。
    やっぱりアウェイはアウェイだ。

    アビスパの両WBが前に出てくる。
    中村北斗が抜け出すが、城後に折り返したボールは
    茂庭の腕に当たったように見えたがノーホイッスル。

    井原監督が動く。

    残り20分を切って中原に代えて坂田を投入。

    刻一刻と時間が削られていく。
    ひとつひとつのセットプレーに全ての力を込めて叫ぶ。
    セレッソは残り15分で橋本に代えて扇原を投入。
    29000人を集めた長居はひとつひとつのプレーに絶叫が集まる。

    田代がフリーの状態で玉田がシュートをふかす。

    心臓が凍り付く。

    中原貴之が投入される。交代するのは堤俊輔。
    貴之とウェリントンの2トップ。これが井原正巳の最終手段。

    あの井原正巳が準備もなしに博打を打つ訳がない。

    絶対に追いつける。絶対にやってくれる。
    ゴール裏の心はひとつだった。

    87分。

    中村北斗のフィードをピッチ中央で中原貴之が坂田に落とす。
    坂田が前線に走り出した金森に送る。

    濃紺の絶叫が金森を呼び寄せる。

    3人を引き寄せた金森は、外を駆け上がった亀川にボールを出す。

    亀川が折り返す。中で一人待っている。
    中で合わせる映像が浮かび、ボールは中原には合わず、
    無情にも横切っていく。

    ゴール裏が嘆息に包まれた次の瞬間、
    ボールがサイドネットに突き刺さる。
    ボールは内側に転がっていった。間違いない。間違いない!

    中村北斗が一直線にゴール裏に走ってくる。
    アビスパの選手が、カメラマンが、北斗に殺到する。
    誰もが両手を突き上げる。抱き合い、叫び、ハイタッチを交わす。

    1-1。J1昇格の権利がアビスパの手元に戻ってくる。

    残り時間は少ない。セレッソは山下が、中澤が前線に上がってくる。
    前線への放り込み。山下が放ったシュートが中村航輔の手をかすめる。

    3万近い視線は、ゴールの脇に逸れ、安堵と嘆息が交錯する。

    4分のアディショナルタイム。長い。本当に長い。
    ありとあらゆるものに祈る。歌う。叫ぶ。
    セレッソが獲得したFKにGKが上がっていく。
    セレッソサポーターの絶叫が響く。

    左サイドからの高いボール。
    バックヘッドでゴールに向かうボールは、
    中村航輔の指先をかすめ、ゴール上のネットにとどまる。

    家本政明の笛が一度鳴る。

    スタジアム中の聴覚がホイッスルに集中する。
    終わりか?終わりなのか?

    アビスパのベンチから選手が一斉に飛び出す。

    試合が終わった!J1昇格の権利を手に入れたんだ!

    そう認識した途端、涙が止まらなくなった。


    前回J1に昇格してからは苦難の連続だった。
    J1では全く勝てず、降格してからは低迷の連続。
    2013年には経営危機に陥りクラブ消滅の不安を味わった。
    多くの選手がクラブを去った。サポーターも減った。


    それが今、大阪に9000人近い人が集結してアビスパを応援し、
    ずっとアビスパで戦ってきた選手、戻ってきた選手、
    輝ける場所を福岡に求めてきた選手、みんなが一緒になって喜んでいる。


    セレッソとの激闘を称え、
    城後が何度も何度もシャーレを掲げるのに合わせて
    何度も何度もバンザイをして、
    写真を撮って、歌って、中村北斗とシャーをして、
    知り合いと顔を合わせるたびに握手をして、抱き合って。


    この夢のような時間が、ずっと、ずっと続けばいいのにと思った。



    ここで終われば、どれほど美しいかと思うけれど、
    J1の18番目のクラブとしての戦いはもうすぐに始まっている。


    歓喜の余韻に酔いながら、選手たちの去就に心を砕く毎日が続き、
    新しいシーズンの開幕はすぐにやってくる。

    これから先、どれだけ苦しい時が訪れても、
    この日に至るまでの日々の想いと、昇格の瞬間の歓喜を忘れずに、
    愛するクラブのある喜び、共に応援する楽しさ、
    全身を貫く勝利の快感を、もっとたくさんの人に伝えていきたい。


    俺たちのアビスパ福岡が、福岡という土地の極上の彩りになるその日を夢見て。


    ありがとう、井原アビスパ。

    最高だ。アビスパサポーター。

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