11月17日。 快晴の水前寺競技場にやってきました。
第97回全国高校サッカー選手権大会 熊本県大会。
決勝戦の舞台へと上がって来たのは、3年ぶりの出
場を目指す大津高校と、2年ぶりの全国を目指すル
ーテル学院。 2012年以来となる決勝での対戦と
なります。
両チームのスタメンと勝ち上がり
大津高校
スタメン
1 松村龍之介?ロアッソ熊本U15
3 西原 大地?ソレッソ熊本
5 吉村 仁志?住吉中
6 福島 隼斗?松橋中
17 岩本 侑大?小川中
7 松原 亘紀?ソレッソ熊本
14 高見 柊真?ガンバ大阪ジュニアユース(大阪)
8 大竹 悠聖?ブレイズ熊本
10 水野 雄太?ソレッソ熊本
9 大? 舜 ?セレソン都城(宮崎)
11 奥原 零偉?府ロクジュニアユース(東京)
1〜3回戦 シード
4回戦 vs翔陽 13−0
準々決勝 vs鹿本 6−1
準決勝 vs熊本国府 2−1
ルーテル学院
スタメン
12 岩川 壱星?小倉南FC(福岡)
6 岩下 悠介?ルーテル学院中
3 成田 澪史?ルーテル学院中
10 徳永 敦優?ルーテル学院中
4 梅木 奎周?ルーテル学院中
5 本田 大悟?ジーク熊本
8 徳永 尊慶?ルーテル学院中
9 野口 慶悟?ルーテル学院中
7 後藤 輝太?アルバランシア熊本
11 竹宮 彪真?ルーテル学院中
20 島崎 大河?ルーテル学院中
1〜3回戦 シード
4回戦 vs専大玉名 3−1
準々決勝 vs熊本学園大付 2−1
準決勝 vs東海大熊本星翔 5−0
全校応援の激突ではないものの、仲間の勝利を信じ
る大きな声援の中、決戦が始まります。
4−4−2の3ラインを縦横圧縮して中央のスペー
スを消し、奪ったボールを竹宮、島崎の2トップに
収めさせて一気に前へ出ようとするルーテルに対し
大津はCBの福島、ボランチの松原から両ワイドへ
速く正確なロングボールを供給して守備ブロックの
外から攻撃。互いの狙いがはっきりしてきた前半1
1分、意外な形で試合が動きます。
右サイドを駆け上がり、DFを交わして侵入してき
たルーテル右MF本田がエリア内の竹宮へグラウン
ダーのクロス。大津DFが処理を誤ったボールはゴ
ールマウスへと転がり、ルーテルに先制点が入りま
す。
チームのメンタルに悪影響を与えかねない失点にも
大津は動じずに攻撃を続行。CKを連続で獲得した
前半20分、ひときわ高い打点でヘッドを叩き込ん
だのは、
背番号5、吉村。
夏にはU18日本代表にも選出された
CBの得点で大津が同点に。
もう一人のU18日本代表、大津の水野雄太に対し
てはルーテルの右SB岩下と本田が厳しく当たるも
のの、福島からアメフトのQBのような鋭いボール
が供給され、互いに決定機は訪れないものの、大津
が押しぎみで前半はあっというまに終盤へ。
そして前半36分、CKのこぼれ球が1トップを張
る9番の元へ。大?は豪快に蹴りこみ、大津が逆転
に成功。
勢いづいた大津は再三のサイド攻撃によって広がっ
てきた相手の最終ラインから大?、そして水野が次
々と飛び出しあわやの場面を連続して作るものの、
ゴールには至らず2−1と大津がリードして前半
を折り返します。
エンドの変わった後半、強い風が吹き始めルーテル
とっては逆風に。前半同様両サイドに起点を作る大
津は前線の4枚が次々と前線へ飛び出しルーテルの
ゴールへと襲い掛かります。何度も「決まるか」と
いうシーンを作るものの、GK岩川が足一本で阻む
シーンを連発するなどルーテルも必死の守り。
ルーテルのクリアはボランチの松原、高見によって
回収され、最終ライン裏へのボールは福島、吉村が
しっかりと対応。交代カードを切りながら我慢の展
開が続くルーテルは後半20分を過ぎると左SB梅
木に代えて長身のFW瀬戸良太(?不知火中)を投
入して3−4−3へ。
竹宮がボールを持ちあがる場面が増え、前線へ人数
をかけてゴールに迫るルーテルと、カウンターで試
合を決めにかかる大津。後半35分を過ぎると大津
はコーナー付近でのボールキープをはじめて時間を
消費しはじめます。
アディショナルタイム。
部員、生徒、保護者の必死の声援が飛ぶ中で左サイ
ドに送られたボールに競り合う竹宮。
ボールを奪うと対応に来た福島も突破。
ルーテル側のスタンドからは地鳴りのような歓声。
スタンドからの祈りを乗せてゴール前に送られたボ
ールはゴールには結びつかず、試合はそのまま2−
1でタイムアップ。
スタンドからは両チームの選手たちに暖かい拍手が
送られ、大津高校は3年ぶり17回目の全国大会出
場を決めました。
◇ ◇ ◇
大津高校はアビスパ福岡、ルーテル学院を応援する
私にとって常に大きな壁であり、何度となく観戦す
る機会がやってきました。
現在主力を務める大津の3年生たちは1年、2年時
からレギュラーを奪い、スタメンのほとんどが2年
生という試合も少なくありませんでした。しかし昨
シーズンは総体はルーテルに、選手権は東海大熊本
星翔に敗れ、プレミアリーグではアビスパ福岡U1
8との直接対決に敗れて降格の憂き目に。
勝負の年に懸ける選手たちの気持ちは想像に難くあ
りません。全国にその名を轟かせるポテンシャルは
充分にあると信じています。
1回戦の相手はU16日本代表のエース西川潤を擁
する神奈川の桐光学園。
大津高校の選手たちの躍動する姿を6試合見れるこ
とを純粋に願っています。
一方でルーテル学院の主力を務める選手たちの中に
は中学生の時から交流のある選手もいて、集大成の
選手権でのプレーをとても楽しみにしていました。
緊迫した試合展開のなか、一人一人のプレーを見つ
めていると時間なんかあっという間に過ぎ去ってし
まい、試合が終わった瞬間、率直に感じたのは「も
うこのチームの試合が見れなくなるのか」と心に穴
が開くような寂しさ。
現時点でJリーグに内定している選手は湘南への入
団が決まっている福島のみですが、この決戦を戦っ
た選手たちが1人でも多くプロの扉を開き、この日
の戦いの続きを見せて欲しいと心から願っています。
熱戦をありがとうございました。
試合で撮影した写真は、Facebookページ
「平日フットボールライフ写真部」にて。
よろしければご覧ください。
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いつも私のつたない写真やブログに反応して頂い
て大変励みになっています。
先日、私の愛するクラブであるアビスパ福岡がJ2
リーグ戦を4位で終え、J1昇格プレーオフに進出す
ることになりました。
東京ヴェルディ。
↓↓↓チケットについて↓↓↓
https://www.avispa.co.jp/news/post-14501
J2の3位から6位の4チームのうち、1チームのみが
J1への切符を手にできる厳しいトーナメント戦です。
一昨年、アビスパはJ1昇格プレーオフを制し、J1
への切符を掴み取りました。
試合までのワクワクとドキドキの入り混じった1週
間。負けたら終わりの緊張感のなか、持てる全て
の力を出し尽くす選手とサポーター。それまで感
じたことのなかった濃密な90分。
昇格を掴んだ瞬間の、生涯忘れることのない感情。
105×68mのピッチに、ものすごい熱量が注がれる
空間が、そこにはありました。
そんなJ1昇格プレーオフの1回戦を、アビスパは
ロアッソ熊本のホーム、えがお健康スタジアムで
戦うことになりました。
2019年のラグビーワールドカップを見越した大規
模改修工事という、恐らくクラブとしてもどうし
ようもない事情で本拠地のレベルファイブスタジ
アムを使用できない状況でスタジアムや駐車場、
シャトルバスなどなどを用意してくださることに、
感謝のしようもありません。
当日は福岡から、東京から、多くのサポーターが
やって来るでしょう。
私は主に高校サッカーを通じて、多くの熊本の方
と繋がることができ、随分とサッカーの世界を
広げて頂きました。
ホーム福岡でできないことはとても残念なんです
が、熊本の皆さんに見てもらえることは、少し嬉
しいことだな、とも思っています。
「同じ九州の仲間として応援してください」とい
うつもりはありません。
ただ、
「こんな面白い試合、見逃す手はないですよ」
とは、言わせてください。
アビスパから見たリーグ戦での対戦成績は、
ホームで1-0、アウェイで0-0.ほぼ互角です。
リーグ戦上位のアビスパは引き分けでも勝ち抜け
というルールもあり、ひとつのゴールで状況が大
きく変わります。
昨年のJ1で戦った一年でJ1とJ2では世間の認
知度に天と地ほどの差があることを実感しました。
クラブとしても、選手個人としても、運命が変わ
る一戦を、見届けては頂けませんでしょうか。
チケット価格は、
バックスタンド前売りで大人1000円、
高校生以下500円、
ゴール裏は前売りで大人500円、高校生以下は
なんと100円です。
先週まで開催されていた高校サッカー選手権とは
また雰囲気の違う決戦の空気を、ロアッソ熊本が
いずれ立つ舞台の雰囲気を(もちろん自動昇格が
一番です)、
ぜひ、お時間のある方は観戦に来て感じて頂けれ
ばと思います。
そして、アビスパの戦いがJ1に値するものであ
れば、少しでも後押しをしていただければ熊本
を愛する者として、
ひとりのアビスパサポーターとして、これ以上の
喜びはありません。
当日、私はスタジアムに行くことが出来ません。
アビスパの勝利と、一人でも多くの熊本の皆さん
に決戦を見届けて頂けることを、心から願ってい
ます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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1月21日。
新人戦の行われる福岡フットボールセンターは気
持ちのよい青空が広がりました。
福岡県の新人戦は北部・中部・南部・筑豊の各支
部予選を突破したチームと、県リーグ1部より上
のカテゴリー所属し予選免除となるチームの合計
40チームによるトーナメント戦で争われます。
この日は3回戦。
ベスト16に絞られたチームの激突です。
観戦したのは、
東海大福岡(以下東海、シード)vs飯塚(筑豊1位)
35分ハーフの試合は開始早々から東海が飯塚の
中盤にプレスをかけ、飯塚の中盤が持ち前のドリ
ブルの巧みさでそれを躱そうとする形で展開。
開始10分経たずに双方選手交代を行い、流れを
掴もうとする中で飯塚にビッグチャンス。CKか
らヘディングでの競り合いがゴールに吸い込まれ
て行くものの、東海の守備陣が辛うじてクリア。
飯塚の選手は入ったとコールするものの判定はノ
ーゴール。
ゴールは奪えなかったものの、飯塚はボランチの
?阿部、左SBの?辻本、トップ下の?橋岡、C
Fの?中野を中心に奪ったボールをドリブルでど
んどん運んでいき、飯塚のペースで試合を進めま
す。
対する東海はボランチの主将?橋本を中心に長短
のパスを交えて前進。すると前半20分を過ぎて
右サイドへの展開からシュートのこぼれ球を橋本
がペナルティエリア外から一撃。GKは一歩も動
けずにゴール左上に突き刺さり、東海が先制。
先制した東海は飯塚がボールを奪うと、ドリブル
で前進しようとする飯塚の選手を2人3人で囲い
ドリブルを阻み始めます。しだいに流れが東海に
移り、前半30分過ぎには橋本のスルーパスに抜
け出したFWがぺナルディエリア内で倒されPK
の判定。
キッカーの橋本はGKに背を向けた状態
からスタートするシュート。GK竹村は反応して
左に跳ぶもののわずかに届かず、東海は2−0と
リードして前半を折り返します。
後半に入り最初のチャンスは東海。左サイドから
のクロスをヘッドで合わせるも、GK竹村がセー
ブ。致命的な3失点目を防ぐビッグプレーでチー
ムを救うと、後半10分頃、飯塚は阿部がドリブ
ルで3人、4人と躱してスルーパス。これに反応
した中野は東海GK今村との1対1に持ち込むも
シュートはわずかに右へ。
さらに中野は再び抜け出しシュートを放つが、今
村は今度は足でセーブしてゴールを許さず。飯塚
のドリブルが冴えわたり、東海の守備陣も粘り
強く対応して時間が進んでいきますが、後半25
分ごろに阿部が負傷交代するアクシデント。
橋岡をボランチに下げ、2点を追い続けると終了
間際、中野がつっかけて攻め上がった橋岡へ。橋
岡はドリブルで相対するDFのタイミングを外し
ながらシュート。
しかしこれはゴールの右に外れ、飯塚の反撃もこ
こまで。
2−0のスコアで東海が勝利を収めました。
3か月前に選手権で筑陽学園と対戦したときは、
ドリブルで会場を沸かせるも筑陽のプレスをかい
くぐることができず、頑なにドリブルで進むこと
を続け0−5で敗れた飯塚。
当時からスタメンの大半が1、2年生だったメン
バーが新チームになり、闇雲にドリブルで仕掛け
る印象はかなり薄れ、相手の守備をさらに困らせ
ていたと思います。決定的なチャンスを決めきる
ことが出来れば、さらに怖いチームになっていく
のではないかと思います。
福岡でこれまで見られなかったスタイルで勝負を
していく飯塚。
各地から集まったドリブル小僧たちがどんな進化
を遂げていくのか、楽しみにしています。
勝利した東海は翌日の準々決勝で北九州戦を橋本
のFK弾で1−0の勝利。準決勝では東福岡と対
戦します。
橋本祐汰という少年の成長を見守り続けてはや2
年。正確な右足と強気な姿勢でピッチの中央で大
きな存在感を放つようになった背番号10は、想
像を超える成長を見せています。
橋本だけでなく昨秋からスタメンを奪っていた2
年生が中心となるメンバーが東福岡という壁を前
に、どんな試合を見せてくれるのか。そしてこの
1年でどんな成長を遂げるのか。人工芝コートが
新装完成した宗像のタイガー軍団の成長もまた、
とても楽しみです。
この試合で撮影した写真はFacebookページ
「平日フットボールライフ写真部」にて公開
しています。ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/pg/heijitufootballlife/photos/?tab=album&album_id=1370318766365934
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12月31日14時。新春の陽光が降り注ぐ駒沢競技
場、22名の選手たちが夢舞台に立つ。
第95回全国高校サッカー選手権1回戦。
対戦カードは、
福島県代表 尚志高校(3年連続8回目)
対
熊本県代表 ルーテル学院高校(5年ぶり4回目)
尚志のスタメン
1堀江亮博?ラッセル郡山FC
3進藤雅也?三井千葉SC(千葉)
4和田大樹?FC明浜Jrユース(神奈川)
5生井沢佑斗?鹿島アントラーズJrユース(茨城)
6常盤 悠?湘南ベルマーレ小田原(神奈川)
7神垣 陸?前橋FC(群馬)
8松本雄真?柏ラッセルFC(千葉)
14影山 諒?ヴィヴァイオ船橋FC(千葉)
22青木 峻?VERDY SS AJUNT(東京)
9渡部公平?Tama City United FC(東京)
10加野赳瑠?鹿島Jrユースつくば(茨城)
ルーテル学院のスタメン
1黒田将司?荒尾FC
4江崎巧朗?ルーテル学院中
2南利昇哉?ルーテル学院中
10島津玲斗?ルーテル学院中
13徳永敦優?ルーテル学院中
3谷本玲弥?リベルダージFC(静岡)
5三上宗一郎?リベルダージFC(静岡)
6東 晃隆?アムソウルFC
7竹宮彪真?ルーテル学院中
11永田紘基?ルーテル学院中
9伊藤 連?アミザージFC(山口)
前日の開幕戦とはうって変わって穏やかな日差
しと微風。
福島から、熊本から駆けつけた部員、生徒の声、
吹奏楽の音色とともにキックオフの笛が鳴る。
大事な大事な立ち上がり、まず攻め込んだのは尚
志、ルーテルを自陣に押し込めCKを獲得、次々
にシュートを放つが、GK黒田がセーブして事な
きを得る。
前半10分、ルーテルのペナルティエリア内で跳ね
たボールがDFの手に当たると主審はペナルティ
スポットを指しながら笛を吹く。
棚ぼたのようなPK。県予選でPK3本を止めて
いるGK黒田に祈りが注がれるが尚志の9番渡部
は冷静にゴール左隅に蹴り込んだ。
大きな1点を得た尚志はボールを保持したまま攻
勢を強める。ルーテルは守備を固めロングボール
を前線の伊藤と永田に送るが尚志の守備陣に跳ね
返される。さらにルーテルには硬さが目立つ。何
でもないようなトラップが流れピンチに繋がる場
面もあり苦しい時間が続く。
スタンドは絶好調。姉妹校の聖望学園の部員も加
わり、いつも通り笑わせてくれる頼もしい声が響
く。
尚志の攻撃をしのぐルーテルは前半25分、永田が
尚志8番松本に潰され、FKを獲得する。ルーテ
ルを全国へ導いてきたセットプレー。10番島津の
右足はゴール前の密集から逸れ、左サイドの大外
で待つ3番谷本がダイビングヘッドで合わせる。
ボールはGK堀江の脇を抜け、劣勢だったルーテ
ルがゴールをこじ開ける。
苦しい展開の中で同点に追いついたルーテルが勢
いづく。11番永田が持ち込んで獲得したCK。こ
ぼれ球を拾った6番東が枠内にシュート。しかし
これはゴールライン上で尚志DFがクリアする。
尚志に落ち着きがなくなり、ルーテルが次々とセ
カンドボールを拾いゴールへと迫ると前半終了間
際、左サイドから5番三上が持ち込んで横へ。こ
れを永田がスライディングで流し込む。
2−1。ルーテルが試合をひっくり返して前半を
終える。序盤は堅さが目立ったルーテルだが、全
国の舞台で力を発揮してみせた。
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メインスタンドに日がかかりはじめる後半、尚志
は14番影山に代えて11番高橋大河(?三井千葉S
C)を右サイドへ投入。
そして後半5分、尚志はCKを獲得。6番常盤の
右足からのボールを黒田が弾き、それを進藤がヘ
ッド。そのこぼれ球を突進してきた進藤が詰めて
尚志が同点に追いついた。
2−2。試合はふたたび振り出しに。
息を吹き返した尚志はテクニシャンの加野に代え
て180?のストライカー、20番井上真冬(?ART
ISTA FC千葉)を投入。ルーテルが攻撃に出たと
ころで中盤が次々とボールを狩り取り、ショート
カウンターを浴びせ続ける。井上はドリブルで持
ち込み、ポストプレーで味方の上がりを引き出し
、猛威を振るう。
後半20分を過ぎて、ルーテルはシュートはおろか
CKすら奪えない。島津がよいインターセプトを
発揮し、ポストにも助けられ何とかしのぐが、尚
志の前線はしつこくルーテルの繋ぎにプレッシャ
ーをかけ、前半以上に苦しい時間が続く。
後半23分。尚志のCK。精度の高い常盤のストレ
ートボールがゴール前へ迫る。そこに飛び込んだ
のは、井上真冬。
押し続けた尚志が再逆転を遂げて3−2とする。
シュートを撃ちたいルーテルは伊藤に代えて8番
鈴木登己峰(?ルーテル学院中)を投入するが後
半29分、尚志は井上が持ち込んでゴール正面へ
パス。
それを受けた渡部はGKのタイミングを外して右
足を一閃。GK黒田は一歩も動けなかった。
4−2。残り時間は10分を切る。
守勢が続くルーテルは選手交代を経て島津をボラ
ンチに上げ打開を図るが尚志の守備を攻略するこ
とが出来ず、試合は3分のアディショナルタイム
へ。
刻々と減る時間の中、ルーテルは右サイドを上が
る4番江崎が抉り、途中出場の19番谷川隼(?ル
ーテル学院中)がシュートを放つがGK堀江のセ
ーブに阻まれ、万事休す。
後半に本来の力を発揮した尚志が4−2でルーテ
ル学院を振り切り、2回戦へコマを進めた。
◇ ◇ ◇
プリンスリーグで実績を残し、他地域からも選手
が集う全国レベルの強豪は強かった。一度はルー
テルのペースに持ち込んだものの、後半に入りネ
ジを巻きなおしてからは終了間際までルーテルに
シュートどころかセットプレーすら許さない試合
運び。
その尚志は2日後の2回戦、山梨学院に1−2で
敗れ、大会を去った。福島の地で切磋琢磨を続け
た才能ある選手たちのこれから。また彼らの試合
を見る機会を楽しみにしたい。
◇ ◇ ◇
前半の尚志の攻勢からPKで失点したときは、こ
のまま飲み込まれ敗れ去ってしまうのではないか
とも思わされたが、ルーテル学院の選手たちは逞
しさを見せてくれた。
全国の舞台でエンジのユニフォームが躍動する姿
を見る事ができた満足感。
大舞台で硬さを見せてしまったことへのもどかし
さ。
強い強い相手と戦うことで発揮されていく選手の
姿を見ると、もっと彼らのプレーを見ていたかっ
たと思わされる。
高校サッカーを終える3年生も、新チームで雪辱
に燃える下級生たちも、この試合の経験が将来の
糧になることを心から願っている。
最後に、
全国の舞台でもそろっていたお辞儀。
初めてそのお辞儀を見てから3年。お辞儀に驚き
応援に笑わされ、中原輝というタレントに魅了さ
れ、ライバルたちを知り、世代が移る中でルーテ
ルで戦う選手や周囲の方々との出会いがあり、と
うとう全国大会まで見に来てしまった。
総体で国府に敗退したときは「全国なんて夢物語
で終わってしまうぞ」と思わされたが、苦難を乗
り越えて全国にたどり着いた彼らの姿は輝かしか
った。
初めて目にした開会式、そして開幕戦に集った
48代表校1440名の選手と、13000名を
超える大観衆。選手権という大舞台は、すべてを
懸けて挑むに値するものでした。素晴らしい経験
になったのは、間違いないと思います。
これからも彼らの挑戦を見守っていきたい。
全国大会での挑戦、本当にお疲れ様でした。
また会いましょう。
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12月18日。
アビスパ福岡U18がプレミアリーグ昇格への大一
番へ挑む。
高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯プレミアリ
ーグへの昇格チームを決めるプレミアリーグ参入
戦は、全国9地域のプリンスリーグを勝ち抜いた
16チームが4組に分かれてトーナメントで昇格
の4枠を争う。
プリンスリーグ九州を2位で終えたアビスパ福岡
U18は、16日の1回戦でプリンスリーグ東海
1位のJFAアカデミー福島を3−1で退け、ベガ
ルタ仙台U18を1−0で破った広島皆実高校と
の決戦に臨む。
ここまでの道のりは平坦ではなかった。
アビスパが経営危機に揺れた2013年秋。ユー
スチームはプレミアリーグから降格し、翌年のプ
リンスリーグは7位に沈んだ。
2015年は4位。大分トリニータU18、大津
高校の後塵を拝し、2位以内に届かなかった。
冨安健洋は2年の夏にトップチームへ合流したが
、崎村祐丞、稗田圭吾、濱口功聖ら1年時からス
タメンを確保した選手たちが3年となり、宮内真
輝がキャプテンとしてスタートした2016年の
プリンスリーグ。長崎総科大付属高校との開幕戦
は、後半5ゴールを許し0−5の大敗。
その翌週に熊本地震の発生によりリーグ戦は中
断。6月のクラブユース選手権では決勝でサガ
ン鳥栖U18に延長戦の末に敗れた。
その後に待っていたのは、地震により中止を余儀
なくされていた試合の代替日程として組み込まれ
た夏季の土日連戦。
不安は尽きなかったが選手たちは逞しかった。
高体連チームとの連戦を大量得点で勝ち抜き、長
崎総科大付属とのリベンジマッチには敗れたが、
12勝2分け4敗の成績で2試合を残して2位を
確保した。さらに秋のJユースカップではプレミ
ア勢を破りベスト8に進出。
苦しい道のりを経て、若蜂たちは確実に強くなっ
た。2013年の春の全国大会、ナイキプレミア
カップで3位に輝いた世代が、最後の最後に迎え
る大勝負。
後輩たちにプレミアリーグという舞台をプレゼン
トするために、何よりもアビスパが存続するかど
うかも分からない中でアビスパユースに進むこと
を選んだ彼らが、最高の笑顔で勝利を飾れるよう
に。
明日の試合を最後に、3年生はそれぞれの道へ進
む。どんなときも試合会場に駆けつけ愛を叫び続
けてきたサポーターたちとともに、最高の123
アビスパを。
12月18日13時30分、舞台は広島広域公園
第一球技場。若蜂軍団の最終決戦に、アビスパの
仲間たちのめいいっぱいの気持ちを送って欲しい
。
2年前の秋に感じた大きな希望を、今こそ現実へ。
ともに戦おう未来へ。
決戦を控えた選手たちには、笑顔があった。
11月20日、うまかな・よかなスタジアム。
天候はくもり、無風。
第95回全国高校サッカー選手権
熊本県大会の決勝戦は、熊本国府とルーテル学院
によって争われる。
ルーテル学院(以下、ルーテル)
のスタメンと戦績
新人戦…ベスト8(vs東海星翔1-2)
総体……ベスト8(vs熊本国府0-3)
リーグ戦…県リーグ2位
1回戦…シード
2回戦…シード
3回戦…vs北陵22-0
4回戦…vs熊本農3-2
準々決勝…vs熊本学園大付属1-0
準決勝…vs大津3-3(PK3-1)
1黒田 将司?荒尾FC
5江崎 巧朗?ルーテル学院中
3南利 昇哉?ルーテル学院中
10島津 玲斗?ルーテル学院中
13徳永 敦優?ルーテル学院中
4谷本 玲弥?リベルダージFC(静岡)
6三上宗一郎?リベルダージFC(静岡)
7東 晃隆 ?アムソウルFC
20竹宮 彪真?ルーテル学院中
9永田 紘基?ルーテル学院中
11伊藤 連 ?アミザージFC(山口)
熊本国府(以下、国府)のスタメンと戦績
新人戦…両校優勝(雪のため決勝中止)
総体……優勝(vs熊本商1-0)
全国総体…1回戦(vs鹿島学園0-0,PK5-6)
リーグ戦…県リーグ5位
1〜3回戦…シード
4回戦……vs済々黌5-0
準々決勝…vs開新5-1
準決勝……vs東海星翔2-1
1生田 千宝?ロアッソ熊本U15
2北脇 拓海?FCKマリーゴールド天草
4久野 龍心?太陽熊本
5藤田 海輝?FCコンクエスタ
6尾上りつき?シャルムFC
3渡辺 智貴?FCKマリーゴールド熊本
7坂本 幸広?ブレイズ熊本
10池本 葵?太陽スポーツ玉名
11杉田 達哉?CAグランロッサ(福岡)
17井手口凌我?FCコンクエスタ
9高原 悠太?ブレイズ熊本
両ゴール裏には両校のサッカー部や部活生、一般
生徒が集結し、熱い応援合戦を繰り広げて決戦の
空気は最高潮。
熊本地震によってバックススタンドは閉鎖された
ままだが、メインスタンドには各校のサッカー部
や多くの観衆が詰めかけ、熊本県民運動公園の駐
車場はキックオフ1時間前には満車状態に。
12時05分、全国を懸けた決戦がはじまる。
大声援に押されて攻め込んだのは国府。開始早々
に左サイドからのクロスがCF高原に渡りかける
が、CBに入る島津がクリア。さらに国府は右か
ら池本が左SB徳永との1対1からカットインし
、クロスを送るもクリア。ルーテルの最終ライン
に対してパスミスを誘うような守備で圧力をかけ
て主導権を握りにかかり、緑色の大声援がそれを
後押しする。
夏までの応援リーダー岸下剛虎(?ブレイズ熊本)
を決勝のメンバーに送り出した応援団と生徒たち
の声はメインスタンドの保護者の手拍子に反響し
、あたかもホームゲームのような雰囲気を作る。
最終ラインからのビルドアップを封じられたルー
テルだが、ロングパスを左MFの竹宮に通し、そ
こから中央の伊藤、逆サイドの東へと渡りシュー
トに繋げる。
さらにルーテルは伊藤のロングスローを180?
の1年生徳永がニアに入りヘッドでファーへすら
すがわずかに枠外。互いに堅い守備からの切り替
えの速さでチャンスを作ろうとし、緊迫した時間
が続く。
ボールがゴール前に迫るたびに、ゴール裏から大
きな声援が湧く中でその歓声がさらに大きくなっ
たのは21分、ファウルを受けたルーテルはプレ
ーを素早く再開。島津から7番東へのスルーパス
が通る。歓声と悲鳴が交錯する中、東のドリブル
を国府GK生田がセーブして安堵と嘆息のため息
に変わる。
前半の半ばを過ぎて、国府の1トップと4人のM
Fによるプレッシャーを、ルーテルの最終ライン
が落ち着いてパスを回して隙をうかがい始める。
夏の総体での対戦では、前半早々にPKを与えて
失点した後、前からのプレスに浮足立って失点を
重ねたルーテルだが、本来ボランチの江崎と徳永
をSBに、キック精度の高い島津をCBにコンバ
ートしたルーテルは簡単にボールを失わず、前線
へのフィードを送り続ける。
こうして送られたボールをFWが収め、ボランチ
に落として右サイドに展開、再び東が抜け出して
シュートを放つ。しかしGK生田は素早く反応し
て右手で弾き出す。
ピッチサイドで準備する控えメンバーの前で、前
半の均衡は続く。ルーテルにチャンスを作られ続
けていた国府はアンカーの3番渡邉のボール奪取
と7番坂本のボールキープと配球を軸にボールを
ふたたび支配。高原が幅広く動いて杉田や池本が
飛び出すスペースを作るが、ルーテルも中央はし
っかりと守り国府に決定機を作らせず、0−0で
前半を折り返す。
後半から、国府は井手口に代えて16番字室航平
(?太陽スポーツ熊本)を投入。高原と字室の2ト
ップに変更する。
10分のハーフタイムを挟んで対峙する後半、激
しい球際のバトルからスタートする。
そのさなか、会場内の迷惑駐車を報せる場内アナ
ウンスが入る。ゴールキックを谷本がヘッドで跳
ね返す。車のナンバーを告げるなかで、高く跳ね
たボールはバウンドし、落下点を永田と久野が競
り合う。競り合いを制した背番号9が、バウンド
に右足を合わせて前に出ていたGKの頭上を狙う
。
生田は戻りながらシュート掻き出そうと右手を伸
ばしボールを弾く。アナウンスは喚声に掻き消さ
れ、ボールはポストに当たり、ゆっくりとゴール
マウスへと転がっていった。
後半3分、ルーテル学院が先制ゴールを挙げる。
リードを許した国府はサイドからのクロスを多用
して中央を固めたルーテルを崩しにかかる。後半
17分、高い位置を取る左SB尾上りつきに杉田
達哉からボールが入る。
背番号6はマッチアップした江崎を振り切り、高
精度の左足でファーサイドをクロスを送る。
その先に走り込んでいたのは背番号11。高い跳
躍で完璧に合わせる。
GK黒田の腕伸ばした腕は届かず、緑色の熱狂が
スタジアムを覆う。
重要な試合でゴールを決めてきたエースの一撃で
熊本国府が試合を振り出しに戻す。
ここから試合は膠着する。
ルーテルはスペースを消して国府のサイド攻撃を
封じるが、前への圧力が生み出せない。互いに決
定機の生まれない時間が続く。両ゴール裏はピッ
チへエネルギーを送ろうと特大の声量で選手を後
押しする。
後半残り10分を切り、ルーテルは永田に代えて
8番鈴木登巳峰(?ルーテル学院中)を投入。する
と鈴木はサイドに流れてチャンスを演出し、ふた
たび試合は動き始める。
国府は足を痛めた北脇に代わり19番野田拓海(
?エンフレンテ熊本)を投入。最後まで走り切れ
ず涙する北脇を、ベンチの仲間たちは全員で労
う。
後半も残りわずか。
鈴木にボールが入ればえんじ色の歓声が上がり、
国府のアンカー、渡邉はこぼれ球を拾い攻撃を継
続させれば緑の声援が湧き上がる。
クロスに4人が入って勝負を決めに来た国府の攻
撃をルーテルがしのぎ切り、試合は10分ハーフ
の延長戦へ突入する。
泣いても笑っても残り20分。
走り続け疲労した足を投げ出してギリギリのボー
ルに足を投げ出し、マイボールにしようと競り合
う。
延長前半4分。ルーテルは伊藤のキープから鈴木
右サイドを突破。右サイド45度の位置でFK
を得る。
ボールから複数の選手が走り出し、ショートパス
で視線を揺さぶり、エリア内に走り込んだ島津に
フリーでボールが渡る。左足で狙いすます島津に
、久野が必死にブロックに戻る。
ボールは、久野の頭をかすめてニアサイドにコー
スが変わり、咄嗟に反応した生田の左手の先を、
ネットに吸い込まれていった。
ルーテルを応援するすべての声が絶叫する。注文
通りのセットプレーが決まり小野秀二郎監督は渾
身の右拳を降り下ろす。
延長後半6分、主将のゴールでルーテル学院が
2−1と勝ち越しに成功する。
国府は攻めるしかない。
尾上のクロスから杉田がヘッドで合わせるがクロ
スバーを越える。再び尾上、グラウンダーのボー
ルをエリア内の字室へ。
島津をかわして反転して放たれたシュートに黒田
の指先は届かず、次の瞬間、ボールはポストに当
たり、跳ね返る。数cmの誤差で交錯する天国と
地獄。追う者には矢のように、追われるものには
永遠のように感じられる時間が進んでいく。
延長後半に入り、国府は尾上を上げて3−1−4
−2に、さらに前線で走り続けた高原に代えて2
4番福田虎太郎(?コンクエスタ熊本)を投入。最
後の10分間に懸ける。
ルーテルは中盤を支え続ける谷本が、スタジアム
全体に響きそうな声で仲間を鼓舞する。
互いに前線へのシンプルなボールが増えていき、
選手たちはボールを奪おうと最後の力を振り絞る
。国府の最後のカードは25番岸下。だったが、
尾上が痛んだのを見て急きょ20番中村佑太(?
コンクエスタ熊本)が左サイドに投入される。
無念の交代となった尾上。タッチラインからゴー
ル裏を通って引き上げるレフティーに、応援団は
特大の尾上チャントを歌い仲間の奮闘を称えた。
2分のアディショナルタイムにさしかかる。
国府が得たFK。坂本がゴール前へ送り、ヘッド
ですらした先に走り込んでいたのはDFの藤田。
しかし、シュートは黒田の正面。
そして。
国府の最終ラインからのロングボールを黒田が収
めたところで試合終了。2−1のスコアで、ルー
テル学院が5年ぶり4度目の優勝を果たした。
歓喜に湧く選手。
悲嘆にくれる選手。
彼らは互いをいたわり、健闘を称え合った。
何度となく熊本へ足を運び、戦いを見守って来た
臙脂と緑の選手たちの姿に、自然と涙腺が緩んで
いた。
結果の出ない日々、熊本地震という困難。
投げ出してもおかしくない苦しい日々を乗り越え
て、栄冠をつかんだ選手たち。
おめでとう。本当に、おめでとう。
熊本県民総合運動公園スポーツ広場。
第95回全国高校サッカー選手権熊本大会準々決勝。
ルーテル学院と熊本学園大付属が、準決勝の椅子を
かけ、激突します。
ルーテル学院(以下、ルーテル)
新人戦…ベスト8(vs東海星翔1-2)
総体……ベスト8(vs熊本国府0-3)
リーグ戦…県リーグ2位
1回戦…シード
2回戦…シード
3回戦…vs北陵22-0
4回戦…vs熊本農3-2
1黒田将司?荒尾FC
5江崎巧朗?ルーテル学院中
3南利昇哉?ルーテル学院中
10島津玲斗?ルーテル学院中
13徳永敦優?ルーテル学院中
4谷本玲弥?リベルダージFC(静岡)
6三上宗一郎?リベルダージFC(静岡)
7東 晃隆?アムソウルFC
20竹宮彪真?ルーテル学院中
9永田紘基?ルーテル学院中
11伊藤 連?アミザージFC(山口)
熊本学園大付属(以下、学付)
新人戦…ベスト8(vs熊本国府1-2)
総体……ベスト4(vs熊本国府0-1)
リーグ戦…県リーグ3位
1回戦…シード
2回戦…シート
3回戦…シード
4回戦…vs宇土8-1
1横手峻矢?長峰中
3中山大輔?シャルムFC
4長谷川哲太?ロアッソ熊本U15
5田上雄晟?ソレッソ熊本
2山中 蓮?ソレッソ熊本
6依田昌己?ソレッソ熊本
8石橋未雲?荒尾FC
10日置舞哉?ソレッソ熊本
11小川大空?ソレッソ熊本
9内古閑遼?ソレッソ熊本
12平野智也?ソレッソ熊本
◇ ◇ ◇ ◇
スタンドに取り付けられた小旗がはためく程度の微
風。風上のエンドを学付が取って試合開始。
ロングボールを送り合い相手の出方を窺うなかで最
初に決定機を迎えたのは学付。前半10分前、右か
ら上がったクロスに9番内古閑がドンピシャのヘッ
ド。決まった、と思わせたがルーテルGK黒田が左
に飛ぶ。横っ飛びで最初のピンチを弾き出す。
冷や汗をかいたルーテルは2トップの連携でゴール
に迫る。セカンドボールを手中に収め、運動量を上
げて流れを奪い返しにかかる。
攻勢に出る学付はエリア内に出たルーズボールを強
引にシュートに持って行き、さらに低い位置に降り
てボールを触っていた10番日置が中に絡み短いパス
交換で中央突破。シュートに持って行くがまたも黒
田が右に飛んでビッグセーブ。ルーテルを応援する
悲鳴が安堵のため息に変わる。
前半30分に差し掛かり、両者ともにスペースを消し
て後方からロングボールを送り込んでは跳ね返され
る膠着状態に。サイドでは応援団の目の前で激しい
バトルが繰り広げられる。
そして前半終了間際、ルーテルの20番竹宮がパスを
受けて抜け出すがGK横手にセーブされ、スコアレ
スのまま前半を終える。
熱量とユーモラスがミックスされる応援を披露し
て選手の後押しをする両チームの部員、両校の生徒
に野球部。風はやみ、後半のキックオフを告げる笛
が鳴る。
膠着状態を破ろうと両者は互いに仕掛ける。
後半4分、ルーテルはボランチの三上から東に渡り
かけるがカットされる。さらにロングスローからエ
リア内に混戦を作るが跳ね返される。そして東から
のパスに9番永田が抜け出しエリア内へ。競り合い
の中で倒されたようにも見えたが主審の判定はノー
ファウル。
学付も前線にボールを送りゴールに迫るが、ルーテ
ルの守備陣が身体を張り、主将の島津は慣れないポ
ジションながらカバーリングをこなし、FKキッカー
もこなして後方からチームを支える。
後半の半ばに差し掛かり、互いに攻守の切り替えか
らチャンスが生まれ始める。応援団の後押し、保護
者の歓声と悲鳴。息詰まる攻防が続く。
FKから東が抜け出しゴールを揺らすがオフサイド
の判定に泣いたルーテルはさらに三上がドリブルで
持ち込みファウルを受け再びFKを獲得する。
ともにFKでゴールを狙える10番と11番が立つ。
ふたりが蹴ると見せかけて伊藤がゴールに向かい島
津が右足で蹴り込む。頭でボールに合わせたのは伊
藤。そのボールはGK横手の手の届かない軌道でゴ
ールマウスを捉え、えんじ色の歓喜が弾ける。
後半25分、ついにルーテル学院が均衡を破る。
学付は前線に7番坂本(?太陽SC玉名)、18番深田
(?ソレッソ熊本)を投入し巻き返しを図ると、後半
32分には学付は11番小川が中に入ってシュート
を放つがGK黒田の正面。
ルーテルは最前線のFW永田に代えて8番鈴木(?ル
ーテル学院中)を投入して運動量を維持して隙をう
かがう。
残り時間はわずか。
ルーテルはスペースを消して逃げ切りを図る。学付
はCBの長谷川を前線に上げてセットプレーを次々
に獲得してゴールに迫る。
2分が掲示されたアディショナルタイム。
学付は依田から左サイドスペースに抜けた坂本にパ
スが出る。ルーテルは島津がカバーに走る。両軍の
必死の声を受けて走る二人の競り合いは島津のカバ
ーリングが優る。
さらに主将同士の競り合いからこぼれたボールに、
小川が走り込んでシュートを放つが、ボールはバー
の上に外れ、激戦の終わりを告げる笛が鳴る。
スコアは1−0。ルーテル学院が緊迫した試合を逃
げ切り、準決勝進出を果たした。
◇ ◇ ◇ ◇
どちらが圧倒している試合ではなかっただけに、学
付にとっては悔しい敗戦となりました。1点を奪わ
れてからも長谷川くんを中心として最後の笛が鳴る
までゴールを目指し続けていた姿勢は、必ずこれか
らに活きてくると思います。新しいチャレンジの姿
を、応援しています。
総体では国府に渡した流れを取り返すことなく敗れ
去ったルーテル。布陣は様変わりしましたが、現在
の選手たちでできる粘り強い戦い方を発揮して見せ
ました。
準決勝の相手は、第1試合で秀岳館を6−1のスコ
アで撃破した大津高校。宿敵のブルー軍団との決戦
の舞台はうまかな・よかなスタジアム。5年ぶりの
全国を目指して、プレミアリーグで戦う宿敵に挑む
ことになりました。
熊本の黄金カードと言われている大津vsルーテル
も選手権では4年ぶり。熱い戦いが期待できそうで
す。
◇ ◇ ◇ ◇
この日、試合以上に心を動かされたシーンがありま
した。
歓喜と涙が交錯するピッチの上。
互いの健闘を称え合う選手たちの姿がそこにはあり
ました。小さいころから仲間として、対戦相手とし
て高め合い、しのぎを削り、迎えた勝負の秋。勝ち
負けは分かれたけれど、それよりも大事な、サッカ
ーを通じて育まれた絆を、垣間見ることができまし
た。
目標に向かって走り続ける選手たち。
その姿はただただ眩しい。
第95回全国高校サッカー選手権福岡県大会は準々決
勝へ突入。
東福岡4-0福大大濠
希望ヶ丘5-2筑紫台
折尾愛真2-3九国大付属
そして2日目の第2試合、筑陽学園vs東海大福岡が、
準決勝最後の一枠を懸けて激突します。
両チームの戦績とスタメン。
(名前の後ろの〇は学年、出身チーム。県外チーム
は所在地もあり)
筑陽学園(以下、筑陽)
新人戦…県大会ベスト4(vs九国大付属0-1)
総体…県大会ベスト4(vs東福岡0-2)
1回戦…シード
2回戦…vs飯塚5-0
1北條憧也?筑陽学園中
20国生竜成?VITESSE福岡
4溝口 峻?VITESSE福岡
16渡邊雅樹?田主丸中
5辻本貴郁?ミジャセロ
6南里慧斗?ルーヴェン福岡
12中川尚人?VITESSE福岡
8村上倖太?VITESSE福岡
7得居草太?VITESSE福岡
9過能大貴?筑陽学園中
10志岐大雅?大川中
東海大福岡(以下、東海)
新人戦…ベスト4(vs東福岡1-2)
総体…ベスト8(vs筑紫台1-3)
1回戦…シード
2回戦…vs北筑9-0
17今村優介?(平野中)
15井上結貴?(筑後サザンFC)
4藤好立樹?(筑後サザンFC)
18澤田有佑?(小倉南JY)
20今村太一?(TINO フットボールアカデミー)
12仲谷怜朗?(ひびきSS)
7高橋 健?(大塚中・宮崎)
14橋本祐汰?(犀川中)
11石原光一朗?(バレイアSC・荒尾)
9窪木翔吾?(ハジャスFC・倉敷)
10及川翔五?(ひびきSS)
◇ ◇ ◇ ◇
両チームの熱い応援の声がピッチに注ぐ中、筑陽学
園のキックオフで試合開始。攻め込んだ筑陽は9番
過能がファーストシュートを放ち勢いに乗るかに見
えたが、ロングボールが互いの最終ラインを行き来
し、その中で筑陽は1トップの志岐をスペースに走
らせて4人のMFの攻撃を引き出す。
CKの競り合いで選手のユニフォームが破けるほど激
しいバトルの中で筑陽が球際で優位に立ち序盤が進
む。筑陽は右からのクロスに過能がダイビングヘッ
ドで飛び込み、中川は競り合いながらもスルーパス
を出してゴールに近づく。
東海にとっては我慢の展開が続く中で、右サイドバ
ック井上の最終ラインの裏へのボールが前線の及川
に渡りかける。さらに及川は相手エリア内でプレス
をかけてボールを奪いかける。
前半20分、井上から最終ラインの裏にボールが出る
と、DFとGKの間に跳ねたボールに9番窪木が猛然と
突っ込む。GK北條の手と窪木の頭。先に触ったのは
窪木。
てんてんと転がるボールに、金色と黒の大歓声が降
り注ぐ。東海大福岡が先制。
このゴールにより選手たちにエネルギーが送り込ま
れたかのように、東海の前線はロングボールを処理
する筑陽の最終ラインに猛然とアタックをかける。
11番の石原はエリア内でボールを奪い、さらに仲谷
のパスを受けた高橋のシュートはGK正面、橋本のシ
ュートのこぼれ球を拾った石原の強烈なミドルはわ
ずかにクロスバーの上。主導権は東海へ移る。
前半35分を過ぎて筑陽はセカンドボールが拾えず攻
撃が連続しない中でも村上のヘッドでゴールに迫る
が、主導権は東海に。2分のアディショナルタイム
が示された前半終了間際、仲谷が仕掛けて橋本へ。
落としてファーへ上げられたクロスが石原に渡る。
11番はそれをきっちりと決め、2-0として前半を終
える。
◇ ◇ ◇ ◇
2-0は危険な点差。前半よりも少し強くなった風を
追い風にして筑陽が攻める後半、東海は下手に繋が
ずにクリアを徹底して慎重に試合を運ぶ。その中で
も仲谷のクロスに及川がフリーでヘッドを放つが枠
を捉えられない。
青い仲間たちの声援を受けて2点を追う筑陽は前半
10分ごろに村上のクロスに得居がヘッドで合わせる
がGK正面。さらに南里から左に展開して過能がタテ
に持ち込みCKを得る。過能はボールを呼び込むと
どんどんタテに仕掛けて反撃の糸口を探る。
後半15分に仲谷に代えて8番河野真吾(?ルーヴェン
福岡)を投入して右サイドのテコ入れを図る東海。
最終ラインとボランチが声を掛け合って相手の攻撃
を寸断してきたが、競って走って跳んで蹴ってまた
走る激戦。
残り時間は体力との勝負にもなる中で、
ビッグチャンスも増えていく。
東海がバイタルエリアで高橋からパスを橋本がスタ
ンドが湧く巧みなコントロールで及川のシュートに
繋げば、筑陽は過能が左をえぐって折り返しを村上
が合わせるがGK正面。さらに筑陽はロングスロー
から混戦となりエリア外に戻されたボールを南里が
右足で狙うが、ボールはクロスバーを叩き主将は顔
を覆う。次の1点を巡り、息詰まる時間が続く。
そして後半25分、相手守備が整っていないところで
左サイドからのボールを受けた及川が前を向く。
右前方へ持ち込んだ10番はマークを振り切り右足を
振り抜く。ついにゴールを捉えたエースの、渾身の
ガッツポーズに向かって選手たちが殺到する。
残り15分で重い重い3点目が入る。
筑陽は矢継ぎ早に選手交代を行い、諦めずにゴール
に迫るが、東海の集中力は最後まで切れず、安全第
一のプレーを選択。アディショナルタイムには勝利
を確信した応援団が大音量の「バーモス」を歌い上
げ、3-0のまま準決勝進出を決めるホイッスルを聞
いた。
◇ ◇ ◇ ◇
3点という大きな差はついたけれど、どちらに転ん
でも決しておかしくない、力のあるチーム同士の戦
いでした。
今はまだ受け入れられないかもしれませんが、南里
くんが攻守の中心に据わり、前線の選手が躍動する
サッカーは楽しませてもらいました。
まだプリンスリーグ復帰を目指す県リーグも残って
いますが、また見てみたい選手たちばかりです。こ
の悔しさを糧にして、次のステップで、また輝く姿
を見れることを願います。
◇ ◇ ◇ ◇
立ち上がりは主導権を握られていたものの主導権を
奪い返し、試合時間が進んでも、最終ラインで、中
盤で声を掛け合い足を止めずに、最後までしっかり
と戦い切った東海の試合ぶりは見事なものでした。
全国の舞台まで残り二つ。より厳しい相手との戦い
でもっと力が引き出されるのではないかと、九国大
付属との決戦が楽しみでなりません。
両チームとも、熱のこもった戦いをありがとうござ
いました。
]]>
はシード校の登場する2回戦に入ります。
レベルファイブスタジアムの第一試合は、筑陽学
園と飯塚の激突。
両チームの戦績とスタメン。
(名前の後ろの〇は学年、出身チーム。県外チーム
は所在地もあり)
筑陽学園
新人戦…県大会ベスト4(vs九国大付属0-1)
総体…県大会ベスト4(vs東福岡0-2)
1回戦…シード
1北條憧也?筑陽学園中
20国生竜成?VITESSE福岡
4溝口 峻?VITESSE福岡
16渡邊雅樹?田主丸中
5辻本貴郁?ミジャセロ
6南里慧斗?ルーヴェン福岡
12中川尚人?VITESSE福岡
8村上倖太?ITESSE福岡
7得居草太?VITESSE福岡
9過能大貴?筑陽学園中
10志岐大雅?大川中
飯塚
新人戦…県大会2回戦(vs新宮0-4)
総体…県大会2回戦(vs北筑1-2)
1回戦…vs九産大九州3-1
1竹村謙吾?ディアブロッサ高田(奈良)
4松本竜拓?ボアソルテ美都(島根・益田)
6三浦伊眞?浅川中
10吉田大夢?稲築中
8辻本 音?五條FC(奈良)
15阿部龍月?ORIENTO FC
11橋岡 佳?FC NEO
7藤原徹哉?ボアソルテ美都(島根・益田)
25藤井琉基?FC V可児(岐阜)
17中野啓介?旭陽中(大阪)
9阿部悠大?宮若西中
試合開始から4分、まず攻め込んだのは飯塚。細か
なドリブルとパスで中央突破を図り筑陽の守備を
翻弄。右中間から最終ラインの突破を目指すも、
先制ゴールはならず。
個人のドリブル技術が高く、中盤の阿部、橋岡を
起点にして筑陽のプレスを躱していく飯塚の攻撃
に、レベスタはどよめきに包まれます。
一方の筑陽。プレスがかからない中でも人数をか
けて飯塚のドリブルを阻み、両サイドバック、特
右の国生と中川を起点として仕掛けて相手のファ
ウルやCKを誘い、チャンスを演出するも、飯塚の
1年生GK竹村が良く守り、0-0のまま前半は30分を
過ぎます。
スタジアムを沸かせていた飯塚のドリブルと、短
距離のパス。これが筑陽のアンカー南里の所で絡
取られるようになり、ショートカウンターから立
て続けに志岐、過能がビッグチャンスを迎えるが
決めきれずにいた前半35分。
CKからこぼれてきたボールを8番村上が仕留め、
連続攻撃を実らせた筑陽が1点をリードして前半
を折り返します。
後半に入り飯塚は前線の2人を交代。巻き返しを
図りますが、筑陽は1トップの志岐をスペースに
走らせ飯塚の守備を攪乱。後半5分には得居が左
サイドを突破。クロスを中川がダイビングヘッド
で合わせて2-0に。
飯塚は前半同様後ろからドリブル主体で繋いで崩
そうとするものの、筑陽の中盤に数的優位を作ら
れ、筑陽のアンカー南里は奪ったボールをタテに
つけてショートカウンターの雨を浴びせていきま
ます。
飯塚は中盤で引き付けて外に展開できたときは好
機をつくれていたものの、ひたすら筑陽の守備を
破ろうとチャレンジを続け、ピンチを招くものの
守備陣が凌ぎ続ける。そんな展開のまま試合は終
盤へ。
後半28分、CKの折り返しを過能が沈めて3-0。飯
塚はロングボールを前線がうまく足元で収めて
起点を作る攻撃を初めて見せていましたが、交代
選手が少ない時間で結果を残そうと襲い掛かる筑
陽の攻撃的な守備を防ぎきれず、36分には志岐が
終了間際には右サイドから攻め込み最後は村上が
2点目となる一撃を叩き込み5-0となって試合終了。
飯塚GK竹村はシュートの雨を阻みまくったものの
悔しい5失点となりました。
時間を追うごとに相手の攻撃に対応し、主導権を
渡さなかった筑陽学園。準々決勝は県リーグでプ
リンスリーグ昇格を争った東海大福岡(東海大五か
ら今春校名変更)と激突します。南里を中心とし
て連動した攻守を発揮し、昨年届かなかった全国
の舞台を目指します。
観客を驚かせながらも、厚い壁に阻まれた飯塚は
跳ね返されながらも、己の力を試し壁を破ろうと
チャレンジを続けていたように感じました。
スタメンの10人が下級生。各地から虎の穴に集っ
たドリブル小僧たちが、経験を積んでこれからど
んな進化を遂げていくのか。福岡の勢力図を塗り
変える可能性を秘めた筑豊の挑戦者のこれからを
楽しみに見守りたいと思います。
第95回全国高校サッカー選手権、福岡県2次予選の
1回戦は福岡フットボールセンターで幕を開けます。
これから始まる1回戦の対戦カードは、
小倉東(紫)vs筑紫(白)。
初夏の総体では県大会進出を逃した筑紫に対し、
小倉東はベスト16に躍進しています。
両チームの応援が鳴り響く中主審の笛が鳴り、キッ
クオフ。
試合は開始早々に動きます。
小倉東の左のアタッカー、11番中山くんが筑紫の最
終ラインを破り、GKもかわして無人のゴールへパス。
小倉東が先制のゴールを挙げます。
出鼻をくじかれた筑紫は反撃開始。
両サイドのサイドバックとボランチ、サイドハーフ
が連携の取れたサイドアタックを見せてゴールに迫
り、ボールを失っても素早いプレスをかけて小倉東
にボールをキープする余裕を与えません。
応援団からも「もって声だせ」と檄が飛ぶ筑紫。
中途半端なボールにもしっかり競ってボールをキー
プ。力強い前線は何度もゴール前にボールを運ぶも
のの、小倉東の最終ラインは体を張って弾き返し、
裏を狙って走る前線の3人にボールを送る攻めを徹
底します。
前半は小倉東が1-0とリードして折り返し後半へ。
両GKはペナルティエリアに入るときにゴールに一礼
して守備位置へ。
後半に入っても両サイドに起点を作る筑紫と、凌い
で裏を狙う小倉東の構図は変わらず。筑紫のボラン
チが逆サイドに振っても小倉東の守備ブロックはし
っかりスライドして粘り強く対応。
前の3人が敵陣深くへボールを運ぶ場面も出てきて
ピッチ上では至る所で走り、飛び、体をぶつけ、昼
下がりの香椎浜はボールを保持しようと戦う22名の
男たちで熱気を増していきます。
40分ハーフの試合の後半はあっという間に15分を過
ぎます。筑紫のGKからは、「筑紫こっからじゃあ」
と熱い声が飛び、小倉東は足をつる選手が出る中で
虎視眈々とカウンターを狙います。
前線の選手を交代させながら、自分たちの形を貫く
筑紫。セットプレー、ロングスローを交えて何度も
ゴールを奪おうと飛び込むも、GKがセーブを見せ試
合はラスト10分へ。
サイドを起点に近い距離で相手とぶつかりながらボ
ールを進める筑紫のサッカーは、後ろから見て時に
ラグビーを見ているような感覚に。
残り3分。
FKから筑紫のヘッドはクロスバーを弾き、こぼれた
ボールに両軍の選手が殺到する。モールのようにな
りながらボールはゴールラインから掻き出される。
アディショナルタイム。
CKを獲得した筑紫はGKがセンターラインまで上がり
全員を前線へ。最後の願いを込めて上げられたボー
ルはゴールならず。
1-0で、小倉東が2回戦に駒を進めました。
小倉東はボールを握られパワーでも押される苦しい
試合でしたが、時にカウンターを繰り出し、大きな
相手にもひるまずに虎の子の1点を守り抜きました。
福大大濠との2回戦を勝ち抜くとベスト8。
最後の大会で大きな飛躍を遂げることはできるのか
楽しみなチームです。
敗れた筑紫ですが、訓練されたサイドアタック、虚
をついたサイドチェンジ、ボールに向かうひたむき
さ、間違いなく好チームでした。
足をつった相手選手の足を伸ばしてやり、プレース
キックを蹴り込み、ピッチの中央で走り切ったキャ
プテンの古賀智也くん。
試合後の挨拶では涙が止まりまんでした。
小倉東1-0筑紫 素晴らしい戦いでした。
J1リーグ戦30試合を終えて、アビスパは崖っぷちから突き落とされそうになっている。
ホームの神戸戦でも力の差をまざまざと見せつけられた。
この試合は今シーズン初めてバックスタンドから見ていた。
初めてレベスタに訪れる友人夫婦と見ていた試合は、
立ち上がりの良さが時間が経つにつれて神戸に崩されていく様が
はっきりとわかり、とても心苦しい試合だった。
4点目が取られてからは、席を立つ観客が目立ち、
何とか一点を取ろうとするアビスパをあざ笑うかのように
神戸はカウンターを繰り出してきたが、GKボムヨンは
何度も絶望的な1対1を防いで見せた。
そして終了間際の坂田のゴール。
試合終了後、ゴール裏のサポーターからは
どんなに苦しい時でも
心の中にいつもいる
LaLaLa… いつも俺たちは歌う
福岡 俺たちはここで産まれ
アビスパ 俺たちは君と生きる
という、アビスパへの愛を歌う応援歌が、
ずっと選手たちへ送られていた。
もしゴール裏に居たら、涙を流しながら歌っていただろう。
たとえJ2に降格しても、アビスパへの愛は変わらない。
だけど、まだ可能性は残っている。
ならば、最後まであきらめずに応援し続けよう。
31節、アビスパは「降格決定の可能性がある」と言われる試合に挑む。
そうやって煽られれば煽られるほど、闘志が湧いてくる。
恐れず、諦めず、立ち向かおう。
神戸戦の試合開始前、ピッチを駆け回っていたスクール生達の、
心にアビスパがずっとずっと輝いていられるように。
簡単に諦めてたまるか。
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福岡フットボールセンターの天然芝ピッチ。
岩手県で行われる2016年度の国体サッカー競技、
少年男子の部に九州から出場する福岡県、佐賀県、熊本県、宮崎県の
代表チームによる強化試合が行われていました。
福岡県と熊本県の試合に訪れた時は
予定よりも早く試合が始まっており、前半の半ば。
雨を含み重くなったピッチで、2000年生まれの選手たちが
目の前の対戦相手とも、同じユニフォームを着た仲間とも
戦う風景がそこにはありました。
両チームともメンバーを入れ替えながら試合は後半へ。
福岡の10番、北島(アビスパ)が力強い突破を見せ、
11番大森(東福岡)がゴールを奪い福岡が優勢に
試合を続けますが、
熊本は攻撃を跳ね返しカウンターで
好機を作り、15番水野(大津)が1点を取り返しさらに
攻め続けるも追加点は奪えず試合終了。
10月2日から始まる国体。
熊本県は1回戦で東京都と、福岡県は2回戦で千葉県と
初戦を迎え、勝ち進めば準々決勝で顔を合わせます。
早生まれの2年生と1年生で構成される選手たち。
試合に出ている選手たちもそうでない選手も居ますが、
彼らの代表選手たちはインドでU17W杯の切符を掴むために戦い、
2大会ぶりに世界への扉を開けました。
この日ピッチに立った彼らにも世界への扉は開いています。
選手たちの国体での活躍と、その先への飛躍を願ってやみません。
がんばれ、少年たち。
福岡県少年男子メンバー
1GK松田 亮(東福岡←FC佐伯)
2DF桑原海人(福岡U18←福岡U15)
3DF西田翔央(東福岡←ひびきSS)
4DF大川智己(九国大付属←小倉南FC)
5DF冨士田康人(東海大福岡←ひびきSS)
6MF川口祐輝(九国大付属←木屋瀬中)
7MF小嶋和典(福岡U18←福岡U15)
8MF古賀勇貴(筑陽学園←CAグランロッサ)
9MF野寄和哉(東福岡←CAグランロッサ)
10FW北島祐二(福岡U18←福岡U15)
11FW大森真吾(東福岡←小倉南FC)
12GK緒方翔平(東福岡←スマイス・セレソン)
13MF知花康士朗(東福岡←福岡U15)
14MF園田新一郎(九国大付属←アミスターFC)
15MF庄司一輝(福岡U18←福岡U15)
16MF篠田憲政(東福岡←福岡U15)
熊本県少年男子メンバー
1 早崎 樹(秀岳館←?)
2 徳永敦優(ルーテル学院←ルーテル学院中)
3 江崎巧朗(ルーテル学院←ルーテル学院中)
4 岩永海都(第二←?)
5 小島大知(熊本U18←ブレイズ熊本)
6 廣田 智(東稜←?)
7 吉岡涼斗(東海星翔←?)
8 吉田健人(東海星翔←宇城アカデミー)
9 福島隼人(大津←松橋中)
10 原田将希(大津←FCKマリーゴールド)
11 大竹悠聖(大津←ブレイズ熊本)
12 大塚隆史(熊本学園大付属)
13 竹宮彪真(ルーテル学院←ルーテル学院中)
14 渡邉秀斗(東海星翔←ブレイズ熊本)
15 水野雄太(大津←ソレッソ熊本)
16 林 駿平(東海星翔←熊本U15)
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PK戦。
後攻めレノファ山口の4人目は10番庄司。
これを決めればアビスパ福岡を倒して山口が3回戦
進出となる。両サポーターの祈りの声が交錯する
中、庄司は確実にネットを揺らす。
2本のPKを止めた殊勲のGK一森純をはじめ、
選手たちはサポーターのもとへ飛び込んでいった。
その「向こう側」の歓喜の光景を、僕はただただ
呆然と眺めることしかできなかった。
なぜだ。なぜこうなってしまったのか。
第96回天皇杯全日本サッカー選手権2回戦。
アビスパ福岡vsレノファ山口はレベルファイブ
スタジアムで激突した。
福岡は20日で7試合という連戦の6試合目を戦う。
3日後に敵地川崎へ赴くアビスパは天皇杯1回戦の
メンバーとほぼ同じスタメン。
一方の山口は天皇杯1回戦から10日の間隔。
4日後の敵地岡山戦を控え、庄司、福満ら一部の
主力をベンチに。
強い雨の降る中、ジャイアントキリングに燃える
山口のサポーターは福岡に集結。
レベスタに気合の入ったチャントを響かせる。
雨を厭わないアビスパサポーターもにゴール裏に
集い、選手たちに気持ちを届ける。
ボールを保持して攻めるのは山口。
中央でのパス交換で相手を走らせ、手薄になった
サイドを攻略するいつもの攻め方。
福岡は堤が危険なスペースを抑えて対応。守備の
重心を後ろに構えてパスを通すべきスペースを埋
め、山口はやりずらそうにプレーしていた。
その反面前線の邦本、中原には勝負できるボール
が入らず、シュートは0。0-0で前半を終えた内
容に不満を漏らし、罵声をピッチに飛ばす者も。
そこに対戦相手へのリスペクトは存在していたの
だろうか?
後半4分、一瞬の出来事だった。
ゴールキックからの浮き球を22番中村が頭でGK
神山へ。11番鳥養がそれをかっさらう。
シュートは神山の頭を越してオレンジの歓喜が
爆発する。
1点を奪われて前への意識が強くなった福岡はす
ぐさま追いつく。右サイドで三島が奪ったボール
を中原が拾って中へ。最後はマークを外した邦本
宜裕。
同点に追いつかれた山口は6番望月に代えて10番
庄司を投入。しかし福岡の勢いは止まらない。
高い位置で激しく当たってボールを奪い山口のゴ
ールに迫るが、山口の守備陣も体を張ってゴール
を許さない。山口も庄司と三幸のパス交換でリズ
ムを整えてアビスパのゴールに迫る。
ボールに対して果敢にチャレンジし、ルーズボー
ルにも全力で飛び込む。人数は少なくても、ネイ
ビーとオレンジのサポーターが声を張り上げて後
押しする。1600名ほどの見つめる試合は熱いも
のとなった。
後半終了間際、福岡が直接FKを得る。
鈴木惇の左足から蹴られたボールが山口の壁を超
える。その軌道に、ゴールを確信する。
一森純の左腕が、歓喜の軌道を弾き出した。
試合は延長へともつれ込む。
心をひとつにして戦いに臨む両者は体力の限界と
も戦いながらゴールを目指す。
延長前半13分。
福岡のFKからこぼれ球をめぐって競り合いとなり、
最後に頭で合わせたのは背番号27。
邦本の2点目で福岡が逆転。
天皇杯は、大型ビジョンも稼働しておらず、スタ
ジアムDJの絶叫も無い。こちら側のゴール裏から
はゴールシーンが見えづらく半信半疑。
こちらを向いた神山が「入ったぞ、もっと騒げ」
とばかりに両手を広げ、サポーターを煽る。
それによりサポーターはやっとゴールを確信した。
延長後半、アビスパは何度もチャンスを作り3点目
を決めにかかったが、決めきれない。
山口はセカンドボールを拾い、右SBの小池がウイ
ングのように何度も仕掛ける。減りゆく残り時間。
何度も背後の電光掲示板を確かめる。
山口がボールを拾い続ける。遅い。早く終わって
くれ。
残り1分を切る。福岡の左サイドにボールが出る。
そこでクリアできれば問題無かったのかもしれない。
しかしクリアしきれずにキープしたボールが福岡ゴ
ール前に入る。
クリアし、拾い、また入れる。
そして守備は崩され、折り返しに滑り込む19番、
星雄次の足が競っていた城後の足よりもほんの少し
だけ早く、仲間たちの目の前で同点弾を叩き込んだ。
そして試合はPK戦へ。
一森純は、實藤友紀と城後寿のPKをストップして
英雄となった。
歓喜に沸くオレンジ色の向こう側。
サポーターへの挨拶を行う福岡の選手たちへは激
励の声と、「おいビッグマウス」という、ある男
の言葉。
選手とサポーターの、サポーター同士の間に冷たい
風が吹きかねない出来事。
なぜだ。なぜこうなってしまったのか。
決して試合に負けたからではない。
これまでも、思うように進まない試合展開に、一部
の声が大きい人間が罵声を飛ばす場面はありふれた
光景だった。
罵声から人は前向きなエネルギーを生み出すのか?
彼らにとって選手は奴隷なのか?
山口のホーム、維新公園には何度か足を運んだこ
とがある。
そこで気づかされたこと。
山口のサポーター達からブーイングや罵声が飛ば
ない訳ではない。そんなときは、拡声器からそれ
らをかき消すようにチャントやコールの掛け声が
入る。
山口のサポーターは、正真正銘の後押しをしてい
る。だからこそ、選手たちはみなサポーターのも
とへ一目散に向かったのではないか。
考え方は人それぞれ。しかし選手も人間であるこ
とを忘れてはいけない。
アビスパのサポーターは学ばなければならないの
ではないか。上手くいかないとき、苦しい時、罵
声ではなく、それをかき消すくらいの励ましの声
を、拡声器の声を待たずに、後押しの声を発して
も、いいのではないか。
愛してやまないアビスパと応援しているレノファ
の初めての真剣勝負。その結末は、思い描いてい
たものよりもずっとずっと苦いものとなった。
出来ればもっと良い条件で、良いメンバーで、も
っと多くの観衆にこの2クラブの対戦を見て欲し
かった。
ピッチに立った選手たちは全力で戦っていた。
レノファのサポーターを向こうに回して全力で応
援できたことは楽しくもあった。鈴木惇のFKを弾
き出し、2本のPKを止めた一森純には素直におめ
でとうと言いたい。
雨にもかかわらず、いろいろな都合をつけて水曜
のレベスタに駆け付けたレノファのサポーター達
にも。
3回戦は上野監督の古巣、そしてJ2昇格をともに
勝ち取った小塚和季の待つ新潟。その先のジャイ
アントキリングを達成できますように、レノファ
山口FCのことはこれからも応援しています。
今度公式戦で当たったときは、この悔しさを必ず晴
らさせてもらう。
その日をまた楽しみに、残された7試合を戦い抜き
J1残留の奇跡を勝ち取ろう。
]]>9月7日水曜日。
第96回天皇杯全日本サッカー選手権2回戦、
レベルファイブスタジアムにて
アビスパ福岡とレノファ山口FCが戦う。
そしてこの試合はBS1で生中継される。
これはどういう意味だろうか。
ジャイアントキリング。
それを期待させる組み合わせに他ならないからだ。
◇ ◇ ◇ ◇
Jリーグを目指す地方クラブの一つに「過ぎなかっ
た」レノファ山口が上昇への風を掴んだのは3年前
の2013年。J3の創設によりJFLへの参入枠が増えた
チャンスを逃さずに、JFLへの新規参入を達成した。
2014年、JFL4位までに与えられるJ3参入の権利を
苦闘の末に4位で勝ち取った山口は、J3参入初年度を
圧倒的な得点力で首位を独走して旋風を巻き起こす。
FC町田ゼルビアに勝ち点で並ばれて迎えた最終節の
アディショナルタイムに、地域L時代からずっとチ
ームを引っ張って来た平林のゴールで昇格を勝ち取
るという劇的な結末を迎え、レノファは昇格した。
迎えたJ2昇格1年目。決して実績があるわけではな
い選手たちが、上野展裕監督のもと鍛え抜かれた
走力とパスサッカーでJ2で7位につけている。
その過程で、プロスポーツの無かった山口の街には
チームカラーのオレンジが広がり続け、8月11日の
セレッソ大阪戦では14532名の観衆が満員札止めの
スタジアムを創り上げた。
急激な右肩上がりで成長を続けるクラブが、J1最下
位のアビスパと戦う。J1で苦闘を続けるアビスパは
この勢いを跳ね返せるだろうか。
◇ ◇ ◇ ◇
アビスパの敵は山口だけではない。
20日間で7試合を戦う過密日程の6試合目。3日後に
は敵地で川崎戦だ。この2回戦に勝つと3回戦は9月
22日(木)に敵地に赴いての新潟戦。残留争いの中、
さらに厳しい日程を余儀なくされる。
天皇杯1回戦、鹿児島U戦で7-2と大勝して見せた
メンバーからルヴァン杯第2戦では末吉と古部が
先発したが、出場するメンバーは鹿児島U戦と大き
く変わらないだろう。ルヴァン杯は出場不能だっ
た三門と駒野はスタメンに名を連ねるのだろうか。
レノファがベストメンバーを送り出してきたとして、
ボランチの10番庄司と29番三幸から繰り出される
パスのリズムを、中央に吸い寄せられたときに飛び
出す両サイドバック、特に右サイドの4番小池のアタ
ックを、鈴木惇、田村、堤らアビスパの守備陣は防
ぎきれるだろうか。
アビスパの「天皇杯メンバー」は昨年にJ1昇格に
貢献したメンバーも多い。試合に絡めなくても誰の
ことも諦めていない。「J1の選手であること」を
証明し、輝くチャンスを掴み取って欲しい。
日程は厳しいけれど、消化試合は存在しない。
ルヴァン杯では力尽きてしまったけれど、向かって
くる相手を堂々と跳ね返すことを、心から願って
応援するだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇
クラブとして初めてJ1クラブと戦う日。
きっと山口から多くのサポーターがやって来る。
この試合は、山口からやって来る多くのサポーター
と同じくらい、僕にとっても楽しみな一戦だ。
大学時代を過ごした山口を久しぶりに訪れた2013年
9月14日。レノファ山口に出会った時の衝撃は忘れ
られない。地域リーグのレノファ山口vsデッツォー
ラ島根。4000名近い観客を集めた光景を目にして、
サッカーで山口の街が変わる予感がした。
それから何度か、ファンとしてレノファの試合を見
に行き、その度に色んな人を虜にし、山口の土地ら
しい後押しの形を作り続けているサポーターの皆さ
んに、大きな敬意を持つようになった。
そんなレノファ山口が、レベスタでアビスパと
公式戦で戦う。
想像していたよりもずいぶん早くなったが、
願い事がひとつ、現実になる。
レノファにはかつてのアビスパ戦士が居て、
アビスパには山口県出身のスタッフが居る。
これからもずっと関わり続けるふたつの誇りの
初対決。
思い切りぶつかり合い、サッカーを楽しみ、
そして全力でアビスパを勝たせる。
絶対に、
ジャイアントキリングなんてやらせない。
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