秀岳館の優勝で幕を閉じた選手権から、
半月後の水曜日。
益城町に17時の訪れを知らせるチャイムが鳴る。
故郷の町で流れていたものと同じ、のどかな音色。
プリンスリーグ参入戦熊本県代表決定戦1回戦。
ロアッソ熊本vs熊本学園大付属(学府)のキックオフの笛は、
その音色の中で鳴らされた。
長くなりますが試合の背景の説明。
長年、2部制で行われていたプリンスリーグ九州は、
来年から2部が廃止される。
それに伴い参入戦が行われることになったのだが、
まず各県の代表を決め、1部の下位と、2部の上位の
チームと参入戦を行って来年の1部参入チームを
決めるようで、枠はおそらく2つ。
熊本県の場合は、県リーグを無敗で制した学付が、
2部でシードされなかったうちの下位のロアッソが対戦。
勝った方が、シードされなかったうちの上位の秀岳館と戦い、
勝った方が熊本県代表。
それから3つ勝ってはじめて、
プリンスリーグを勝ち取れるという過酷な道。
そりゃあね、どっちも応援に熱が入りますよね。
学府の試合を見るのは新人戦以来。
最終ラインからビルドアップしてサイドに展開。
パスで崩すサッカーは健在。
ロアッソの最終ラインをいいように切り裂き、チャンスを生み出す。
ロアッソは学府のサイドバックの裏を突いて応戦。
お互いがやりたいサッカーを出し合う展開の中で、
先制したのは青のユニホーム。
細かいパスでロアッソのバイタルを攻略。
最後は10番柳澤くんが抜け出し、GKとの1対1を冷静に決めました。
先制から5分後、右サイドを崩したロアッソ。
折り返しをきっちり決めて1-1の同点に追いつき、
前半は終了。
前半終了間際はロアッソのプレスがはまり、
一方的に押し込んでいました。
後半。
学府のポゼッションとロアッソのショートカウンターの打ち合いの様相。
10分過ぎにロアッソが逆転弾を叩き込み、
その数分後には追加点。
勝負は決まったかに見えましたが、
後半25分ごろに学府はCKの混戦から押し込み、一点を返す。
チームも、応援団も、息を吹き返す。
ロアッソのゴールに迫る学付。
打ち返すロアッソ。
ノーガードの撃ち合いから、
ロアッソが殴り倒すように4点目を奪う。
学府の反撃及ばず、4-2で試合は終了。
負けたら3年生は引退のロアッソは、
みんな笑顔でのカモンロッソ。
3日後のアウェイ八代での秀岳館戦に、
プリンスリーグへの道を繋げました。
学府の10番、柳澤海斗くん。
新人戦で見たときは、確かな技術と力強い突破で
ゴールに迫るFWというイメージで、
また試合を見れる日を楽しみにしていましたが、
総体でも選手権でも見れずにいました。
この日はキャプテンマークを巻き、
チームメイトを鼓舞する姿が印象的でした。
新チームの後輩たちを引っ張ってるのは明白で、
その背中の10番は、とても大きなものだったでしょう。
高校サッカー最後の試合を戦うその姿を見て、
物語は続いていくんだなということを実感しました。
存在するチームの分だけ続いていく物語と、
最後の試合が終わり、高校3年間の時間が終わっても、
大学で、社会人で、ボールを蹴り続ける限り、
続いていく物語。
Jユースの選手たちも、誰よりも勝つことを求められ、
沢山のサポーターの想いを受けてプロという夢に
向かって走っている。
自分が見ているのは、そんな物語のほんの一部分。
ルーテルの選手たちは礼をするときは90度お辞儀をして「ありがとうございました!」 が徹底されていた。素直に感心した。 完全なる消化試合だったけど、ピッチの上は最後まで勝利を追いかけて全力だった。いい試合を見せてもらいました。ありがとう pic.twitter.com/eNUfc87crY
— カッチャン (@katchan0840) 2013, 12月 4
この日から364日前に見たルーテルvs佐賀東から20試合余り。
沢山の試合を見ることが出来ました。
沢山の想いを受けて、一瞬に懸ける高校生の姿は、
これまで体験したことのない感動と共に、
サッカーを見るうえで欠かせない、
選手へのリスペクトを植えつけてくれました。
今年ほど試合は見に来れないと思いますが、
また、熊本の地で戦う君たちを見つめに来たいと思います。
そして、
熊本を離れ、未来を追う君たちのことを、
これからも応援しています。
また会いましょう。
良いお年を。